「web卒業展」サンゴに優しい日焼け止め
2020年03月07日 「web卒業展」サンゴに優しい日焼け止め
本日の「web卒業展」は
お待たせしました。
ここまで Save The Ocean プロジェクトとしてご紹介してきた
「サンゴに優しい日焼け止め」です。

これまでの経過ではミドリイシの話しか出していませんでしたが、結局、安定的なミドリイシの飼育ができておらず、最終的なテストには至りませんでした。
しかし、化粧品と環境のどちらも学ぶ環境・バイオ科だったからこそ考えついたテーマに加え、自分たちで試行錯誤しながら必要なデータを取ってきたことから、教員全員が推薦して卒業展での表彰対象としてノミネートされていたプロジェクトです。
まず、前提として、
日焼け止めには「紫外線散乱材」と「紫外線吸収剤」のどちらか、または両方が入っています。散乱材は酸化チタンや酸化亜鉛などで、紫外線を反射することで皮膚を守ります。吸収剤は有機化合物で、紫外線を吸収することで皮膚を守ります。吸収剤のうちオキシベンゾンとオクチノキサートは造礁サンゴ(特にミドリイシ類)を白化させてしまうことがわかっていますが、そのほかの吸収剤も類似の構造を持っています。しかし、白化自体のメカニズムもやっとわかってきたところで、どの物質が白化させるかの知見は不十分です。白化させるかどうかを調べる実験系も確立されているとは言いにくい状態です。
サンゴ礁の美しさが観光資源であるハワイやパラオなど、これらの吸収剤を含む日焼け止めを規制する動きが急速に広がっています。

各メーカーやディーラーも素早く対応して「サンゴに優しい日焼け止め」を販売していますが、成分表を確認するとオクチノキサートが別の名前で入っていたり、これらの物質と非常によく似た構造の物質を加えていたりするケースも多いようです。
また「ノンケミ」と呼ばれる散乱材のみ使用した日焼け止めがトレンドになりつつありますが、散乱材だけではUVAを抑えにくいので、SPF値は30以下になるケースが多いようです。
そこで
1 紫外線カットはできるだけしっかり(SPF50を目指す)
2 サンゴに有害な成分を一切含まない(「有害」というデータがあるものは使わない)
3 べたつきなどが無く、使い心地がよい
4 白浮きはできるだけ抑える
5 良い香りにもこだわる
という、かなり欲張りな製品を目指しました。
市販のサンゴに優しい日焼け止めはローションやクリームがほとんどです。「使い勝手、使い心地」という観点から、スティックタイプを目指すことにしました。
散乱材にはサンゴに影響したというデータが無い酸化チタンを採用し、手持ちのチタンを使って試作を繰り返し、感触をテストしました。さらにテイカ株式会社様から最新の酸化チタンのサンプルをご提供いただいて試作し、触感と白さをテスト、ワックスとオイルの微調整を行って処方を決定しました。



最新型で最も小さな超微粒子であるMT-N1はなぜか他のチタンよりも白くなってしまいました。
顕微鏡観察してみると、確認できるサイズの塊が残っており、手で練ったり、プロペラでオイルに拡散したりするだけでは十分に分散できなかったようです。
香りも手持ち香料をブレンドし、フローラルでありながら石鹸のような香りを着けました。


市販品はUVAの範囲、UVBの範囲ともに少しだけUVを止めています。
試作品はUVBの範囲はほぼすべて、UVAも波長が短めの場合はある程度UVをカットすることがわかりました。
単純比較はできませんが、少なくともSPF30が期待できるデータです。
製品名は海へのプレゼントという意味を込めて Makana Aloha (マカナ アロハ)
「つくる責任つかう責任」「海の豊かさを守る」ことを目指した、サンゴに優しい日焼け止めです。

あとはサンゴでテストできる実験系を作って本当に影響しないかどうかを確認したいと思います。
また、超微粒子酸化チタンをうまく分散させる方法も考えないといけません。きっと、もっといいものが作れるはずです。
次の世代が続いてくれることを期待しています!!

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環境・バイオ科
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お待たせしました。
ここまで Save The Ocean プロジェクトとしてご紹介してきた
「サンゴに優しい日焼け止め」です。

これまでの経過ではミドリイシの話しか出していませんでしたが、結局、安定的なミドリイシの飼育ができておらず、最終的なテストには至りませんでした。
しかし、化粧品と環境のどちらも学ぶ環境・バイオ科だったからこそ考えついたテーマに加え、自分たちで試行錯誤しながら必要なデータを取ってきたことから、教員全員が推薦して卒業展での表彰対象としてノミネートされていたプロジェクトです。
まず、前提として、
日焼け止めには「紫外線散乱材」と「紫外線吸収剤」のどちらか、または両方が入っています。散乱材は酸化チタンや酸化亜鉛などで、紫外線を反射することで皮膚を守ります。吸収剤は有機化合物で、紫外線を吸収することで皮膚を守ります。吸収剤のうちオキシベンゾンとオクチノキサートは造礁サンゴ(特にミドリイシ類)を白化させてしまうことがわかっていますが、そのほかの吸収剤も類似の構造を持っています。しかし、白化自体のメカニズムもやっとわかってきたところで、どの物質が白化させるかの知見は不十分です。白化させるかどうかを調べる実験系も確立されているとは言いにくい状態です。
サンゴ礁の美しさが観光資源であるハワイやパラオなど、これらの吸収剤を含む日焼け止めを規制する動きが急速に広がっています。

各メーカーやディーラーも素早く対応して「サンゴに優しい日焼け止め」を販売していますが、成分表を確認するとオクチノキサートが別の名前で入っていたり、これらの物質と非常によく似た構造の物質を加えていたりするケースも多いようです。
また「ノンケミ」と呼ばれる散乱材のみ使用した日焼け止めがトレンドになりつつありますが、散乱材だけではUVAを抑えにくいので、SPF値は30以下になるケースが多いようです。
そこで
1 紫外線カットはできるだけしっかり(SPF50を目指す)
2 サンゴに有害な成分を一切含まない(「有害」というデータがあるものは使わない)
3 べたつきなどが無く、使い心地がよい
4 白浮きはできるだけ抑える
5 良い香りにもこだわる
という、かなり欲張りな製品を目指しました。
市販のサンゴに優しい日焼け止めはローションやクリームがほとんどです。「使い勝手、使い心地」という観点から、スティックタイプを目指すことにしました。
散乱材にはサンゴに影響したというデータが無い酸化チタンを採用し、手持ちのチタンを使って試作を繰り返し、感触をテストしました。さらにテイカ株式会社様から最新の酸化チタンのサンプルをご提供いただいて試作し、触感と白さをテスト、ワックスとオイルの微調整を行って処方を決定しました。



最新型で最も小さな超微粒子であるMT-N1はなぜか他のチタンよりも白くなってしまいました。
顕微鏡観察してみると、確認できるサイズの塊が残っており、手で練ったり、プロペラでオイルに拡散したりするだけでは十分に分散できなかったようです。
香りも手持ち香料をブレンドし、フローラルでありながら石鹸のような香りを着けました。
出来上がった試作品のSPFを測りたかったのですが、SPFはヒトの皮膚で測定するため、費用と時間がかかります。
UVをさえぎる能力だけなら学校の分光光度計が使えるのではないかと考え、スライドグラスに日焼け止めを塗り、吸光度を測定してみました。


市販品はUVAの範囲、UVBの範囲ともに少しだけUVを止めています。
試作品はUVBの範囲はほぼすべて、UVAも波長が短めの場合はある程度UVをカットすることがわかりました。
単純比較はできませんが、少なくともSPF30が期待できるデータです。
製品名は海へのプレゼントという意味を込めて Makana Aloha (マカナ アロハ)
「つくる責任つかう責任」「海の豊かさを守る」ことを目指した、サンゴに優しい日焼け止めです。

あとはサンゴでテストできる実験系を作って本当に影響しないかどうかを確認したいと思います。
また、超微粒子酸化チタンをうまく分散させる方法も考えないといけません。きっと、もっといいものが作れるはずです。
次の世代が続いてくれることを期待しています!!

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・「web卒業展」第四弾!
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