「web卒業展」ゴミ(っぽいもの)から絵具を作ってみた!
2020年03月11日 「web卒業展」ゴミ(っぽいもの)から絵具を作ってみた!
少し間が空いてしまい申し訳ありません。
本日の「web卒業展」は「廃棄物から色素を抽出し顔料を作る」です。
このプロジェクトは発表会で第一位に輝きました。
しかし、卒業展本番の展示準備は途中でストップし、展示レイアウトまではご紹介できなくなってしまいました。展示物だけでもご紹介させていただきますので、卒業展風景をご想像ください。
パネルはこんな感じでした。
もともと「日本画材を作ってみる」というプロジェクトは早くから計画をしていて、実はラピスラズリのくず石も入手済みでした。
「瑠璃色を石からつくってみよう!」って感じですね。
でも、これは体力勝負になりそうだったのと、古い記録から方法を再現している先人もいるようなので、廃材利用の絵具を考え付いた!というものです。
日本画材、特に岩絵の具はかなり貴重なもので、先の瑠璃なんかはとても高価!高級品になるととんでもない値段です。
ラピスラズリの青はウルトラマリンとして西洋でも昔から高額で、フェルメールの「真珠の耳飾りの少女」のターバンなんかに使われている絵具です。
日本ではアズライト(藍銅鉱)を砕いた岩群青が絵具として使われていますが、これも高価(現在では藍銅鉱のほうがラピスより入手しにくい)なので、安価な胡粉(白い日本画材:貝殻を砕いた顔料)を色素で染めて使えないか?というアイディアです。
「胡粉を染める色素としてどんな廃棄物が考えられるか」を検討しましたが、なんとか絞り出したのが、コーヒーかすとワインの搾りかす(アントシアニン)でした。
というのも、SDGs時代の今、食品廃棄物の問題がクローズアップされてきているからです。
現在の日本では、食品ロスや食品廃棄物を減らす取り組み(賞味期限を厳しくしすぎない等)がされるようになりつつあり、食品由来の廃棄物を利用することには意味があります。
コーヒーかすはひたすら熱水抽出し、その褐色色素を濃縮、胡粉表面を染めました。
しかし思ったようには染まらず、薄い茶色の胡粉になりました。
ワインのほうは、最初はブドウ皮からアントシアニンを取っていましたが、季節が進むと入手困難に陥り、仕方なくナスの皮から抽出することにしました。
溶剤で抽出すると赤い色素が得られます。
これをカラムで吸着して濃縮し、
更にエバポレーターで濃縮します。
これで胡粉を染めると…
青くなってしまいました。
胡粉は炭酸カルシウムが主成分なので、水と反応するとアルカリ性を示します。
アントシアニンはアルカリ性で青い色になるので、胡粉表面のpHを変えられればいろんな色が作れると考えましたが、そう単純な話ではありませんでした。
とりあえずアントシアニンは薄い青色、コーヒーは薄い茶色の絵具を作ることができました。
それぞれ「みずたまり色」「枯れ葉色」の環境に優しい絵具です。
(ちょっとネーミングが微妙ですが…)
こうやってまとめてみると、やったこと自体は突っ込みどころ満載だったりしますね。
アントシアニンもコーヒーの茶色色素も光(UV)で褪色するので、絵具の用途はもっとしっかり考える必要があります。
胡粉も表面に油膜を作らせたり、別の塩でコーティングしたり、金属イオンをうまく使ったりすれば、もっと濃く染めたり、色を変えたりすることも可能だったと思います。
とは言え、問題が出てくるたびに、あーでもない、こーでもない、と自分たちで悩んで前進していったことは貴重な財産になるはずです(あえて強くは口をはさみませんでした)。
その悩んだところのもどかしさとプレゼンテーションの明快さが、聴衆に高く評価されたということだと思います。
とても良いプレゼンテーションでした。
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環境・バイオ科
どんな学科か知りたい方はこちら(環境・バイオ科web)
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本日の「web卒業展」は「廃棄物から色素を抽出し顔料を作る」です。
このプロジェクトは発表会で第一位に輝きました。
しかし、卒業展本番の展示準備は途中でストップし、展示レイアウトまではご紹介できなくなってしまいました。展示物だけでもご紹介させていただきますので、卒業展風景をご想像ください。
パネルはこんな感じでした。
もともと「日本画材を作ってみる」というプロジェクトは早くから計画をしていて、実はラピスラズリのくず石も入手済みでした。
「瑠璃色を石からつくってみよう!」って感じですね。
でも、これは体力勝負になりそうだったのと、古い記録から方法を再現している先人もいるようなので、廃材利用の絵具を考え付いた!というものです。
日本画材、特に岩絵の具はかなり貴重なもので、先の瑠璃なんかはとても高価!高級品になるととんでもない値段です。
ラピスラズリの青はウルトラマリンとして西洋でも昔から高額で、フェルメールの「真珠の耳飾りの少女」のターバンなんかに使われている絵具です。
日本ではアズライト(藍銅鉱)を砕いた岩群青が絵具として使われていますが、これも高価(現在では藍銅鉱のほうがラピスより入手しにくい)なので、安価な胡粉(白い日本画材:貝殻を砕いた顔料)を色素で染めて使えないか?というアイディアです。
「胡粉を染める色素としてどんな廃棄物が考えられるか」を検討しましたが、なんとか絞り出したのが、コーヒーかすとワインの搾りかす(アントシアニン)でした。
というのも、SDGs時代の今、食品廃棄物の問題がクローズアップされてきているからです。
現在の日本では、食品ロスや食品廃棄物を減らす取り組み(賞味期限を厳しくしすぎない等)がされるようになりつつあり、食品由来の廃棄物を利用することには意味があります。
コーヒーかすはひたすら熱水抽出し、その褐色色素を濃縮、胡粉表面を染めました。
しかし思ったようには染まらず、薄い茶色の胡粉になりました。
ワインのほうは、最初はブドウ皮からアントシアニンを取っていましたが、季節が進むと入手困難に陥り、仕方なくナスの皮から抽出することにしました。
溶剤で抽出すると赤い色素が得られます。
これをカラムで吸着して濃縮し、
更にエバポレーターで濃縮します。
これで胡粉を染めると…
青くなってしまいました。
胡粉は炭酸カルシウムが主成分なので、水と反応するとアルカリ性を示します。
アントシアニンはアルカリ性で青い色になるので、胡粉表面のpHを変えられればいろんな色が作れると考えましたが、そう単純な話ではありませんでした。
とりあえずアントシアニンは薄い青色、コーヒーは薄い茶色の絵具を作ることができました。
それぞれ「みずたまり色」「枯れ葉色」の環境に優しい絵具です。
(ちょっとネーミングが微妙ですが…)
こうやってまとめてみると、やったこと自体は突っ込みどころ満載だったりしますね。
アントシアニンもコーヒーの茶色色素も光(UV)で褪色するので、絵具の用途はもっとしっかり考える必要があります。
胡粉も表面に油膜を作らせたり、別の塩でコーティングしたり、金属イオンをうまく使ったりすれば、もっと濃く染めたり、色を変えたりすることも可能だったと思います。
とは言え、問題が出てくるたびに、あーでもない、こーでもない、と自分たちで悩んで前進していったことは貴重な財産になるはずです(あえて強くは口をはさみませんでした)。
その悩んだところのもどかしさとプレゼンテーションの明快さが、聴衆に高く評価されたということだと思います。
とても良いプレゼンテーションでした。
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